Duolingoという素晴らしい語学学習サービスがあります。ある日、このサービスを使って中国語を勉強する様子をYouTube Liveで配信する実験をしてみようと思い立ちました。この謎の実験について紹介し、さらに、その実験について筆者が思うところをみなさまに共有したいと思います。

動機

私には以下のような動機がまずありました。

  1. 中国語が分かると、なんとなく嬉しい
  2. ゼロからビジネスを立ち上げる経験をしてみたい

1. 中国語が分かると、なんとなく嬉しい

私は、中国語をこれまで真面目に勉強したことがありませんでした。仕事では周りに中国人はたくさんいますが、彼らはもれなく日本語か英語を流暢に話します。日本語か英語、どちらかで十分にコミュニケーションをとれる状況では、中国語を学ぶ必要性は皆無と言えました。つまり、中国語ができるようになっても、短期的に私の役には立ちません。

しかし、私が以下のような場面に出くわしたとします。このような場面で中国語がわかると「中国語を勉強して良かった」という、自己満足を得ることができるのではないかと思いました。

  • 検索してたまに引っかかる、中国語の資料が、わざわざ翻訳しなくてもぼんやりと意味がわかる。
  • 日本に来る中国人観光客に話しかけられたときに、なんとなく応対できるようになる。

一方、このような自己満足を得るために、多大なリソースを費やしたくはないとも思いました。しかし、たとえば1日に10分程度の時間を捻出し、それを長期的に続けて、最終的に目的を達成できるのであれば、それは合理的ではないか、とも思ったのです。

2. ゼロからビジネスを立ち上げる経験をしてみたい

私は会社員として日々を過ごし、会社の目標に貢献し続けることで、その対価をもらうことに慣れています。しかし、何もないところから新規のビジネスを立ち上げ、収益を生むまでの流れを自分で作ってみたい、という思いを常に持っていました。

昨今、YouTuberと呼ばれる、YouTubeで動画を配信することでお金を稼ぐビジネスが持て囃されています。アップロードした動画が数十万再生され、動画配信だけで食べていけるとされるレベルのYouTuberは、大抵、最初は、頑張って作った動画がほとんど見られないという、辛い下積み期間を経ていると思われます。

YouTube動画配信の経験値をほとんど持たない自分が、それが収益を産めるくらいにチャンネルを成長させることができるとすれば、どうでしょうか?おそらく、私もその「辛い下積み期間」を経験することになるでしょう。その間に、お客様にどうすれば動画を見てもらえるかを考え、試行錯誤を繰り返すことはなんだか得られるものがありそうだと思いました。

「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するもの」

任天堂の宮本茂氏は「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するもの」と述べています。私は、まさに「アイデア」といえる方法を思いつきました。

その「アイデア」とは、毎日10分間、Duolingoで中国語を勉強し、その様子をYouTube Liveで配信するというものです。YouTubeで動画を自分で作成するのは、撮影、編集、エンコード、アップロードの手間がかかります。しかし、YouTube Liveで配信すると、撮影の時間だけでコンテンツができてしまいます。忙しい日も、大抵は1日に10分は容易に捻出できます。

この「アイデア」が成果を出すためには、長期間の継続が必要です。そのためには、日々の動画配信オペレーションをリーンにする必要があります。さもなければ飽きて放り投げてしまうことでしょう。しかし、10分で1日分のコンテンツができるというのは、なかなかリーンなオペレーションであり、試してみる価値があると思いました。

やってみた

というわけで、2023年の6月中旬に「Duolingoで中国語を勉強する」と題してYouTube Liveの投稿を開始しました。

具体的な方法は単純です。MacにDuolingoのChromeアプリをインストールし、そのウィンドウをOBSを使って配信します。音声は、もともと持っていたJabra Evolve 75ヘッドセットのマイクを使います。

毎日、配信したい時間になったら、OBSで新しくYouTube Liveの配信を作成します。作成したら、以下のようにTwitterで配信のURLをツイートします。

次に、OBSの配信開始ボタンを押し、適当に独り言をしゃべりながら、10分間Duolingoで中国語を勉強します。10分経ったら、OBSの配信停止ボタンを押します。これだけで以下の動画が得られます。

評価

2023年7月27日現在、40日を超える間継続することができています。当初の動機を達成するにはまだまだしばらく続ける必要がありますが、これだけの日数で継続できているのは、リーンなオペレーションを構築したおかげだと考えています。

1日に10分しか勉強しないので、中国語が上達した感覚は今のところほとんどありません。また、YouTube Liveで配信した動画を見てくれる人もほとんどいない状態です。ライブで、あるいはアーカイブでも。虚空に向かって話しかけているような感覚がありますが、まあなんか慣れてきたような気がします。どうすれば、もっと多くの人に見てもらえるかを考えるのは、これからの課題です。

今のところ、あまり興味深い成果が得られているわけではないと思いますが、私にとって、これを毎日続けるのはそれほど苦ではないという発見がありました。もうしばらく続けてみて、何か面白いことがあったら皆様にご報告できればと思います。

それでは、この辺で。